10/30日経新聞夕刊の小川真さん(菌類学者)の「松林と日本社会」を読んだ。
今、日本の松林はマツ枯れにより惨たんたる状態にある。
原因はマツ枯れの原因とされるマツノマダラカミキリやマツノザイセンチュウがいないのにかれてしまう。根が腐って衰弱死しているらしい。
マツはやせた土地を好み雨量が少なく乾燥し、他の植物が繁茂できないような限界ぎりぎりのところに育つ。
原因は指摘されていないが、大気汚染など環境の変化や日本の温暖で多雨な気候条件によって他の植生に負けてしまっているのだろうか。
そういえば30~40年前迄は日本の里山の大部分はマツに覆われていた。私の育った生家の近所の山も今は松林は衰え照葉樹の林になっている。
ところが日本ではマツ枯れを気にしないし、山々の木々が異様に枯れても関心が薄い。人々の自然に対する感受性が非常に薄くなっている、と小川さんは指摘する。
森林は意外なほど正直に人の心や生活のありようを映し出す。
小川さんは松林再生活動を支援している。マツと相性のよいキノコの菌を苗木に植え付け炭を周辺に埋めて根付かせる方法だ。枯れても枯れても苗木を植え続けることが大事、といわれる。
目先の経済価値にとらわれると環境や森林を守る視点を失う。
環境の変化に気付き、環境を守ることは必要だ。